当レポートは海外のレポーティング動向を把握する目的で、サステナビリティの意識が高いとされる海外企業100社から条件に合致する92社(*1:企業名とレポート名リスト)の企業を基本・形式情報からマテリアリティの開示などの内容面等広範な調査を実施した。前編となる今回は、書類構成・ページ数をはじめとする基本情報及び保証状況について報告する。
日頃、日本の統合報告書を読んでいて、統合報告フレームワーク に基づく6つの資本、価値創造プロセスやマテリアリティなどの仕掛けを効果的に活用できているのだろうかという疑問が浮かぶことがある。IFRS財団のウェブサイトでは、統合報告書であるかの認定はしていないが、「統合報告フレームワーク」や「価値創造モデル」や「(6つの)資本」など統合報告フレームワークの根幹となる単語に言及しているレポートをデータベース化しており(*2)、2023年は429件、2024年は735件、2025年は2025年11月末時点で582件となっている。世界の統合報告書かもしれないレポートの件数が、日本一国の2024年1月~2024年12月末時点の統合報告書発行件数である1,150件(当研究所調べ)より少ないのである。海外の統合報告書に焦点をあてる前に、統合報告書に限定しない海外のサステナビリティ開示ランドスケープの様子を覗いてみることにしたい。今回の前編と「ESRS基準の分析手法とマテリアリティ」をテーマとした後編で構成する予定である。
調査サマリー
■平均ページ数は220ページ
■書類構成は法定書類の中にSustainability Statement等として含むラップ形式が38/92件、サステナビリティをテーマとした個別発行が54/92件(複数レポート発行企業の場合は*1記載の1種類を調査)
■ESRS適用以外のレポートの名称はSustainability Reportが31件で最多
■合理的保証ありは14/92件(15%)であり、うちレポート全体対象は3件のみ。
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