
米国においては環境問題に消極的なトランプ大統領の返り咲きや企業によるDEI施策の中止、欧州委員会が発表した包括的簡素化パッケージや企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に基づく欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)を含めた施策の見直し、など世界的にサステナビリティ施策に対する反動が顕著である。一方、後発の日本では、これまで統合報告書による多面的な開示の重要性が叫ばれ、日経統合報告書アワードやWICI統合リポートアウォードが開催され、企業の開示も盛んになってきた。また当研究所の「統合報告書発行状況調査2024最終報告」(注1)でも記載があるように、統合報告書発行企業はTOPIX平均よりも株価成長率が常に高い。世界的に反動的動向であるといっても、環境問題やDEI施策以外のサステナビリティ的観点全てを否定するものではないと考えられる。しかし、反動的な兆しが見える時代だからこそ、財務以外のサステナビリティ観点を織り込んだ統合報告書作成の意義を、更に具体的に確認できないかと考え、狭義の統合報告書(※)を開示する企業の中でも優れた事例と言えるこれらアウォードの受賞事例の時価総額を調査してみた。
レポートサマリー
■アウォード受賞企業計18社の時価総額成長率は、同規模の同業他社集団を上回った場合と下回った場合が社数で半々
■上回った企業は、日経アニュアルリポートアウォードが、6社/10社、WICI統合リポートアウォードが3社/10社(2社が両アウォード受賞で重複)
■上回った企業は、同規模の同業他社集団との差が5年後時点で平均103ポイントの差、下回った企業は、平均35ポイントの差であり、上回る動きのほうが勢いがある
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