統合思考について実務上どのように認識されていますでしょうか 貴社では統合思考が醸成され実践できていますでしょうか?
統合思考は統合報告の中核となる概念ですが、実務上・ 研究上、曖昧な概念として捉えられています(Dimes and de Villiers, 2024) 。 統合思考は、「 組織内のさまざまな事業単位及び機能単位と組織が利用し影響を与える資本との間の関係について 組織が能動的に考えること 」( IIRC,2022 p 3 )と定義されます 。 さらに、統合思考は、「 短、中、長期の価値の創造、保全及び毀損を考慮した、統合的な意思決定と行動につながる 」( IIRC, 2022 p 3) とされています 。
これまでの先行研究では、統合報告の実践により統合思考が醸成されることが明らかにされています( Guthrie et al 2017 Hosoda, 2022) 。また、統合思考は、統合報告の有無に関わらず存在することも議論されてきました( Al Htaybatvon Alberti Alhtaybat 2018 )。 さらに、既存の組織文化と統合思考との間で対立が生じる可能性も明らかにされています(Dumay Dai,2017)。 例えば、既存の組織文化が短期の財務業績を優先させる場合には、統合思考が組織に根付くことは難しくなるでしょう 。
統合思考は、サステナビリティ経営をより高いレベルにするための重要な要素です( Dimes and de Villiers, 2024 )。 さらに、統合思考は、サステナビリティパフォーマンスと長期的な財務パフォーマンスと正の相関があることが明らかにされています(Reimsbach and Braam 2023) 。統合報告を実施している企業であれば、統合思考が醸成される方が望ましく、統合報告を実施していない企業でも、統合思考が醸成された方がサステナビリティ経営の深化のためにも望ましいといえるでしょう 。
統合思考の重要性が高いにも関わらずその概念が曖昧である状況において、 Dimes and de Villiers 2024 は、これまでの統合思考に関わる定性的研究のレビューを通じて、統合思考の 4つの特質 Hallmark を提示しました 。 この 4 つの特質が組織内で確認できることによって、組織内では統合思考が醸成されやすくなります(Dimes and de Villier, 2024) 。本レポートはこの統合思考の 4 つの特質と、統合思考の特質を生み出すためのメカニズムを示すことを目的としています 。 このレポートを通じて、組織内で統合思考を醸成できているかの評価や、統合思考を醸成させるための施策を検討することに役立てていただければ幸いです 。
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