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調査研究報告Research

研究員コラム

小谷主席研究員

研究員コラム「トランプ2.0と企業開示」を発行しました。

 2025年の干支は、乙巳(きのとみ)で「努力を重ね、物事を安定させていく」という意味があるそうだ。また、巳、つまり蛇は、豊穣や金運を司る神様として祀られており、古くから神の使いとして信仰の対象とされ、脱皮することから「復活」と「再生」を意味し、不老長寿など縁起のいい動物とされているらしい。

 

 米国の分断を象徴するような昨年の選挙戦を経てトランプ氏が第47代米国大統領に1月20日就任する。トランプ2.0の本格始動だ。既に大統領選挙直後から政権移行チームが、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」離脱を宣言する準備を進めているとした報道も流れている。日本のメディアでも「石油など資源を重視する第2次トランプ政権が、ESG関連の政策をバイデン政権から大きく転換するのではないかとの観測が浮上している」とした報道も目立つ。また、欧州では欧州経済をリードする大国のドイツとフランスにおける政治の不安定化、そしてその結果として右傾化も懸念材料とも言える。  グローバルにサステナビリティ情報開示元年ともいえるが、干支では「復活」と「再生」の2025年に「トランプさんのこのような動きは、なんと世の中の流れに逆行する動きだろう」との嘆きも聞かれる。しかし、結論から言おう、資産運用という視点でみると大きな影響があると思われるトランプ2.0も、欧州政治の右傾化が仮に起こっても、資本市場における企業開示の視点では今までも今後も大きな変化はないだろう。しかし、「三方良し」の文化が根付いている日本では元々マルチステークホルダー思考が強い事から「投資家」を意識した開示に頭を切り替える必要があるとも言える。

 

要旨

- 総論賛成各論反対で頓挫した「ステークホルダー資本主義」

「株主資本主義」から「ステークホルダー資本主義」への転換を宣言したものの各論では株主の意向は無視できない現実

- ESG原理主義からの転換

ESGが過度に政治的になったことにより、受益者のリターンを尊重する動きが加速

- DE&Iお前もか!

「Woke企業(目覚めた企業)」への圧力によるDE&Iからの離脱

- 「Primary User(主要な利用者)」って?

マルチステークホルダーから財務報告書利用者への回帰

- トランプ2.0と企業開示

米国における開示は財務・非財務に関わらずマテリアルな情報は全て開示することが求められており、この点に関してはバイデン氏であろうとトランプ氏であろうと大きな変わりはない。

次頁よりこれらの要旨に沿って、詳細を述べたいと思いますのでご興味があれば是非一読ください

    

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