宝印刷D&IR研究所

宝印刷株式会社

調査研究報告Research

研究員コラム

小谷主席研究員

研究員コラム「国際サステナビリティ情報開示(ISSB)基準導入は 非財務情報開示で悩む上場企業にとって朗報です!」- 3つの提言-を発行しました。

必要な資金を、必要な企業に、必要なタイミングで

40年ほど前、筆者が資本市場に足を踏み入れた際、先輩社員から教えられたことは沢山あるが、その中で原理原則ともいえる教えは「資本市場は必要な資金を、必要な企業に、必要なタイミングで供給できないと意味はない」というものであった。この40年で証券市場バブルが起こり、はじけ、金融危機が起こり、ゼロ金利が長期間続き、投資家の視点は有形資産から無形資産に移り、ガバナンスの重要性、そして環境や社会的課題に対する向き合いも必要となるなど大きく変化してきた資本市場である。果たして「必要な資金を、必要な企業に、必要なタイミングで」供給できる市場になったのであろうか。

レモン市場は改善したか

昨今、テレビCMでもよく目にした中古車販売グループの不正がメディアを賑わしている。米国では質の悪い中古車を俗語でレモンカーということもあり、中古車のように、実際に購入しなければ真の品質を知ることができないアセットが取引される市場をレモン市場というらしい。ノーベル経済学賞受賞者のジョージ・アカロフ教授(George Arthur Akerlof)がこの語源となる「The Market for Lemons」という論文を発表したのは1970年。レモン市場を取り上げ、その問題点が情報の非対称性にあることを指摘した議論はすでに半世紀を超えている。今回の中古車販売グループの問題を見ながら、未だ中古車市場は変わっていなかったのであろうかと思いつつ、資本市場はどうであろうと考えた。当研究所の2022年12月末現在の調査では、任意であるにも・・・・

    

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