宝印刷株式会社
研究員コラム
小谷主席研究員

研究員コラム「ESGは投資家を集める撒き餌か? - シリコンバレー銀行破綻からの示唆 -」を発行しました。

 

 日本ではESG、或いはそのベースとなっているSDGsはほとんど聖域となっていて、その賛否については議論の対象とはなっていない。それらは所与の課題として認識され、経済新聞の広告はSDGsやESG花盛りである。しかし、企業の情報開示におけるESGの議論に携わっている中で、あまりにも聖域化されたことによって問題意識、つまり議論がない中で、そのESGについての本質を理解しないまま、作業として企業が情報開示のためのESGを語ることになることを筆者はとても危惧している。

 ESGの議論に水を差すような否定的なコメントは「アンチESG」としてレッテルを張る傾向がグローバルでもあるが、本当にそうであろうか。今回はこのような欧米の動向に、直近起こったシリコンバレー銀行破綻からの示唆を含めて考察してみたい。

シリコンバレー銀行破綻の影響

 3月10日にスタートアップ企業向けの融資で知られた米国の上場企業SVB Financial Groupの主要事業体であるシリコンバレー銀行が経営破綻したことを発端とした金融市場の混乱が続いている。本コラムの執筆中である5月中旬現在もまだ不安定な様相を見せており、リーマンショックの再来を危惧する識者もいる。シリコンバレー銀行の破綻は単に金利上昇局面における流動性管理の問題点が露呈したこと以上に、欧米では、ESGについての議論の的となっている。それは、シリコンバレー銀行はいわゆる「覚醒した(Woke)」銀行、つまり、最もESGに対する意識が高く、その銀行顧客も「覚醒した」企業が多いことで有名だったことからである。そうした環境課題(E)と社会課題(S)に対する先駆的だと言われた銀行において、クローズアップされているガバナンス(G)に関連する二つの問題から見て行きたい。

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