宝印刷D&IR研究所

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調査研究報告Research

研究員コラム

片桐研究室長

研究員コラム「その統合報告書、本当に必要ですか? Part2」を発行しました。

 筆者が「その統合報告書、本当に必要ですか?」と題したコラムを執筆したのは2020年9月のことだ。そのコラムでは、そもそも統合報告書とは何か、統合報告書を発行する目的とは何かについて触れている。それが4年近くたった今もなお閲覧されている状況を見ると、現時点で自社も発行に踏み切るか否か迷っている企業がある程度いらっしゃるか、若しくは、統合報告書を発行する意義を見つめなおしている企業がいらっしゃるものと推察する。そこで、今回は本当に統合報告書が必要なのか、そして統合報告書を発行する意義とは何か、改めて見つめなおしてみたい。

増え続ける統合報告書発行企業
 2023年も多くの企業が統合報告書を発行した。当研究所が今年2月末に発表した統合報告書発行状況調査では、2023年1月から2023年12月末時点の統合報告書発行企業数は1,019社となり、昨年同時期の872 社から147社増加し、上場企業の3割弱が統合報告書を発行する状況となっている。IIRC国際統合報告フレームワークが公表された2013年の統合報告書発行企業は96社であったから、その時点の10倍以上の企業が発行していることになる。開示される情報の質も向上しており、過去発行初期の段階でよく見られた、いわゆる合本タイプの統合報告書も、現在では初期段階とはいえどもある程度は統合思考を用いた内容になっているように感じられる。「これから統合報告書は法定開示化されるのでしょうか」という質問を受けることもある。筆者の考えはもちろんNOだが、情報開示担当者が心配になるほど統合報告書を作成する企業が周囲で増加しているということだろう。有価証券報告書にサステナビリティ情報が一部開示義務化されたが、当年3月29日にはSSBJから日本版のサステナビリティ開示基準の公開草案が公表されており、開示が義務化されるサステナビリティ情報も今後増加することは間違いない。さて、こうした状況下、あえて今から統合報告書を作成する意味はあるのだろうか?有価証券報告書に記載するサステナビリティ情報だけで十分なのではないだろうか?その解を得るためには・・・

    

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